おさかな健康メモ - サバ
監修:(公社)北海道栄養士会 管理栄養士 木村千香
青魚の中でもn-3系脂肪酸が特に多いサバ。DHAとEPAがたっぷり含まれます。
サバは青魚の中でもω-3脂肪酸が特に多い
サバはDHAとEPAが含まれているは有名で、ご存じの方も多いと思います。DHA、EPAともn-3系脂肪酸といい、不飽和脂肪酸の一種です。n-3系脂肪酸は人間が生きていくために必須の脂肪酸ですが、人間が体内で作ることはできません。それゆえ、n-3系脂肪酸は、積極的に体内に摂取しなければならないので、必須脂肪酸と呼ばれているわけです。
サバに含まれるn-3系脂肪酸は、DHAとEPAです。DHAは、細胞膜を柔軟にしますが、特に脳の中の神経細胞(シナプス)には細胞膜が多い構造になっているので、DHAが働きかけ、細胞膜が柔らかくなることで、シナプスの発達が活発になり、脳の働きや記憶力が向上します。またDHAは、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きがあります。また、中性脂肪の低下、血管の拡張や血小板凝集を抑制します。EPAも同じ働きがあるので、血圧を下げ、動脈硬化や血栓ができるのを防いでくれます。
EPAは、血小板が固まるのを適度に防ぐので、血液の流れをサラサラにします。血管中の血栓ができるのを防いだり、脳に運ばれたEPAは、DHAに作り変えられるので、間接的に脳の働きを助ける効果もあるとされています。
また、DHA、EPAとも、アレルギー反応の原因となる過剰な免疫反応を抑制する効果があります。アレルギーの炎症を起こす原因となる、プロスタグランジンという物質が体内で生成されるのを抑制し、さまざまなアレルギー症状が緩和されます。
他には、抗酸化作用を持つミネラルの一種、セレンが含まれており、体をさび付かせる活性酸素から守る役割があります。活性酸素は、ウィルスや細菌から身体を守ってくれますが、過剰に発生すると老化やガンなどの病気の原因にもなるのです。ですから、セレンは抗酸化作用でそういった病気や老化を防ぐので、アンチエイジングにも繋がるわけです。
サバはビタミンも豊富です。カルシウムやリンの吸収を助け、骨や歯、皮膚や爪などの発育を促進するビタミンD、たんぱく質の代謝・吸収に必要な水溶性ビタミン、ビタミンB6には皮膚や粘膜を健康に保つ効果があり、ホルモンバランスを保つ効果もありますので、美容効果も期待できます。そして赤血球の生成に関わる水溶性ビタミン、ビタミンB12。不足すると、悪性貧血が起こり、鉄欠乏症の貧血に比べて治りにくく悪性になります。貧血によるめまいや動機などに悩まされている方は、しっかり摂取したいところです。また、末梢神経の回復効果もあるので、腰痛などの末梢神経障害の改善にも期待できます。サバにはビタミンB群に含まれる水溶性ビタミン、ナイアシンも含まれているので、脂質、糖質を分解する酵素を補助する働きをします。アルコールを摂取しすぎた時に発生するアセトアルデヒドを分解する役目もあり、お酒を飲む時は摂取すると酔いを軽減することが期待できます。また、毛細血管を拡張して血行をよくする働きがあるので、冷え性や肩こり改善にも期待できます。
その他、遊離アミノ酸のタウリンは、血中コレステロールを抑えるとともに、肝機能強化や骨を丈夫にし、体力をつける効果があります。
【調理・食べ方】
サバとネギを一緒に焼く料理。ネギの匂い成分アリシンとサバのEPAのダブルの効果で血栓を予防し、動脈硬化や心疾患を防ぎます。
サバにパルメザンチーズを振り、ミニトマトを半分にスライスしてサバの上に乗せてオーブンで焼きます。好みによってバジルなどのハーブを添えても良いでしょう。サバに含まれる鉄分の吸収をトマトのビタミンCが助けます。