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sustainability report サスティナビリティレポート 

このコーナーでは、私たち食に携わる企業が社会的使命、および貢献を果たすために日々取り組んでいる活動を報告いたします。その目的は環境保全と食資源保全への取り組みを日々行うことにより、持続可能性の高い社会を創造してゆこうとするものです。日々エネルギー、資源の有効活用または節約を実現するためにスタッフたちがミーティングを行い、少しずつでも改善および創造を行い、活動しています。

尚、この報告は弊社(有限会社 嘉楽)が運営しているレストラン事業、水産事業共の活動を掲載してまいりたいと思います。

サスティナビリティレポート

2016年07月15日

世界の生物多様性について記事掲載されていましたので、抜粋して掲載いたします。

「地球の健全性を保証する生物多様性が現在、危機的なレベルにまで減少していることを示唆する研究論文が14日、発表された米科学誌サイエンス(Science)に掲載の論文は、地球の全陸地面積の58%で「エコシステムが人間社会を支える構図に疑問が生じるほど、生物多様性の損失は広がっている」と指摘する。

この58%の陸地には、地球人口の約71%が暮らしているという。英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)の研究者らは、各国の科学者数百人による、世界1万8000以上の場所で採取された、生物3万9000種以上に関する計238万件の記録データを基に研究を行った。

 研究では、それぞれの土地における人の入植後の生態系の多様性について経時変化を推定するため、生物種の個体数変化を表す「生物多様性完全度指数(BII)」が用いられた。 

 BIIでは、一般的に安全と考えられる指数低下の限界値を最大10%としている。これは、ある特定の生息地内における生物種の個体数が、人間による土地利用のない時点との比較で90%以上であれば安全圏にあるという意味だ。 

 しかし、研究論文によると、現在の地球上の生物多様性は、このしきい値を下回る84.6%になっているという。 

 共同執筆者である、英ロンドン(London)自然史博物館(Natural History Museum)のアンディ・パービス(Andy Purvis)氏は、「政策当局者らは景気後退については大いに心配するが、環境の後退はさらに悪い結果をもたらす恐れがある。これまでに起きている生物多様性の損失は、そのような危機的状況が現実のものとなるリスクを意味している」と警鐘を鳴らした。」

とあります。

私たちの前浜でも魚が激減しており、水揚げ量は十五年前に比べると、半分にも満たないくらいです。気象の変化だけではなく、人工問題や、経済との関係も密接に関わっており、さまざまな分野との連携をとり、サスティナブルな対策を打たないといけないと感じております。

 

2012年12月17日

奈良県宇陀市で陶芸をされている益洋一さんの作品です。

Galleryギャラリー ~・ほたて貝を利用した陶芸・~

先だって、ほたて貝の殻があれば送ってほしいと依頼いただき、さかなだマートから送った貝を利用した焼物です。益さんは、高知出身の方で、海で生まれ育ち魚が大好きとのことです。そんなことから、魚をモチーフにされる事が多いようです。個展を開いたり、ご自宅でも作品を飾っておられるようです。時には販売もされているようですが、ほとんどjは、子供たちにプレゼントされているようです。

作品の特徴は、一度素焼きにした陶器にほたて貝の貝殻をかぶせてもう一度焼くそうです。温度を1250度から1280度に設定して焼くと、ほたて貝のカルシウムが陶器に付き、色が付くそうです。写真の陶器の茶色い部分がそうです。とても珍しい焼き方だそうで、こういった焼き方をしているのは、現在、益さんだけのようです。

益さんは現在、御年65歳。子供たちのためや、みなさんに見ていただいて楽しんでもらいたいと、造られているそうです。私たちも廃材であるほたて貝殻を提供でき、お役に立てたことがとても嬉しく思っています。1250~1280度ですと、焼いたあとの貝殻は粉になるそうです。カルシウム肥料など、再利用しやすいのでとても自然にやさしい。 自然と人の調和が成り立っています。

 

2012年11月20日

水産資源の持続性を考える時も、地球規模で考える必要があります。「世界の海は繋がっている」この概念無しにサスティナブルは成立しません。地に根付く魚は地域保護で良いと思いがちですが、回遊魚の影響も多分に受けています。

日本だけが資源を保護しても、他の国の海域で乱獲などすると、回遊魚が年々減ります。日本には「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺がありますが、これは資源を考える時に共通する思考で、連鎖を表しています。一見関係無さそうな事も実は大きな影響を与えるものです。

連鎖と循環をどこまで読み解けるのか、非常に難しい問題ですが、完全でなくとも、広い視野で視る事のほうが、狭い視点で視るよりも大切な時代なのではないか?と考えています。まだ決定づけできていません。森を見て同時に木を見ることが大事ですが、急激な資源減少には広い視野で対処しなければと思うのです。世界の人口が爆発するくらい増えていますので、どこの国も食料確保には躍起です。

特に大国は遥か未来よりも、今が大切ゆえ、持続性ある対策を政治が行えないのでしょう。短期、中期、長期と計画を立てながら資源維持に努めなければ、ほんの十数年で食糧危機を迎えるのではないかと思います。資源を絶やすのは速いが、資源を取り戻すには長期間かかります。各国が自らの国のことだけを考えていると手遅れになります。

世界が資源を共有する時代が来なければ、特定の国が回遊地点で一網打尽にする国は絶えません。水産資源の持続性はほんの一瞬に過ぎないのです。人口が増え、資源が足りなくなり、争奪戦し、人口が減り、再び資源が復活し・・・、そんな絵も描けなくありません。私たちは自然主義的で良いのかを深く考えさせられます。世界が高齢化して人口が減るという自然主義ですと、それまでの間、水産資源は持たないでしょう。人の感情や利権、思想などが複雑に絡み、数多くある解決策を使えなくしています。

物理的に資源回復の手立ては困難ではありません。困難なことは、やはり人間の心の中にあります。サスティナブルな社会とは、サスティナブル思考を持った人間が多く現れる事が先決なのでしょう。科学が優れていても、科学を使えないと科学者も報われません。世界が共通して持続性社会に必要なゴールは何か?そんな理想を掲げる事から始めなければ出来ないでしょう。

まず、教育です。義務教育にサスティナビリティ授業を週一時間でも良いので、科目に加えるべきです。世界の模範となる日本社会を築けば、世界の国々が日本を侵略しようと考えないでしょう。日本を残さなければいけないという感情を、他国に影響を及ぼすことが大切だと思います。

ピーター・ドラッカーや、アインシュタインが言った言葉が思い出されます。「日本が地球を救うだろう」と。

「EQ」心の知能指数が大切だと思います。

 

2012年11月19日

先だって、日高町の水産資源を活用するプロジェクトに、札幌のシンクタンクからヒアリングの依頼を受けて協力しました。あまり知名度の無い魚介を商品化するために、シンクタンクの方が道内のメーカーなどをまわって技術開発など、意見を聞くという調査です。

私どもも選ばれ、対談に協力していた次第です。お見えになられた調査員は、とても誠実そうな方で、ついつい長話しをしていました。ドンコというアイナメの一種である魚など、珍しい名前の魚介が数種リストに上がっていましたが、安定して資源が続くのかという見地で見ると、なかなか難しいのが現状です。

資源を持続させながら、経済を維持しなければいけないので、ただ美味しい魚だからというだけではうまくいきそうにありません。困難な仕事だと思いますが、がんばってほしいと思います。

サスティナビリティとは、連鎖と循環により成り立つものだと思うのですが、海の事だけを考えていると、うまくいかないと思うのです。資源を増やすには、根本のところまで辿って、核心について解決する必要があると思います。水産労働力の確保や、知識労働者の受け入れ環境、女性が働きやすい環境や設備の増強、そして教育機関などの充実など、行政も積極的に動いてもらう必要があります。

サスティナビリティとは、持続可能性という意味ですが、元々水産資源を持続させるために生まれた言葉だそうです。しかし、その試みが始まったのは、実は、平安時代に遡るそうです。当時から、未来の水産資源が減る事を予測して対策をまとめた文献があるそうです。もしかすると、資源がもっと豊かであった時代の人たちのほうが、意識が高かったのかもしれません。

日本が最も豊だと感じた時代は縄文時代だと言われていますが、資源とのバランスがとれていたのでしょうね。世界人口が膨大になった今、ただ目先の経済のみに働きかけていると、取り返しがつかなくなるかもしれませんね。

この件につきましては、私たちも壮大なビジョンを持っておりまして、まずは、人がこの町に来るようにしなければいけないと考えています。来年から社会的価値の変化も起きるのではないかと考えていまして、都会からローカルな地への人の移動が活発になると思います。

見方を変えれば、良い機会だと思いますので、伴って、町のコンセプトも変えていけるように私たちも参加してまいりたいと思います。資源持続性と共に、新しいコンセプトを持った町が生まれてくれれば良いと考えています。また、北海道はそういった価値創造をする上において、最も適した土地だと思うのです。

今、この町は過疎化が進んでいるにも関わらず、労働力を繋ぎとめておくための環境、例えば保育所や託児所もないのです。女性の労働力が必要な時代、まずはそんな環境作りだと思います。

豊かな自然があり、空も、海も、空気も綺麗で本当に住みやすいところだと思います。人と自然が調和した町づくりをするにはもってこいの所です。ですので、私たちがモデルを創りたいというのがビジョンなのです。そしてそんなモデルが他に広がれば良いと考えています。

 

2012年10月04日

フーズインフォマートにさかなだマート代表、サスティナビリティが掲載されました。

http://www.infomart.co.jp/psales/blog/main.asp?psales_smcd=S3TcJ2Eb&psales_msid=&kbn=1&cond

=2183&year=2012&month=10&bid=6

 

2010年12月02日

今年、強く感じたことは、やはり資源の減少ですね。どの魚種も減っていて、大きな水産メーカーも、従来の仲買の仕事だけではやっていけないと縮小を迫られたり、三次加工に取り組むことを余儀なくされています。このままですと、来年あたり、資源減少で相当数の倒産が増えるのではないかと予想しています。 

資源減少にデフレが被さり、漁師稼業を後継できなくて生産者も急激に減る一方です。昨年は、地元の鹿部町でも2割の漁師が廃業したようです。高齢化している中で、これから魚が重要視される中、生産者が居なくなると、需要に充分応えることもままならなくなってきます。 

しかし、不思議に思うことがあります。世界は魚ブームなのですが、日本はどうして魚離れを起こしていたのでしょうかね。近年は高齢化ということもあって、健康に気遣われる方が増えて徐々に魚消費が増えてきていますが、最近の日本は不思議な行動をすることが多くなったように思います。 

自然の原理原則と申しますか、情報に振り回されて、自然の声を聴けなくなったことも一因なのではと考えたりしています。どうもパターンにはまりやすいというか、ものの判断の基本軸が無いと申しますか、ちょっと危惧することが増えています。本来ですと、資源が減ると資源の高騰が連動して生じるのですが、なかなか物価が上がらなかったこともあって、生産者は生活のため資源を従来以上に採ることになり、資源減少が急ピッチで生じるというような事になりました。もう少し浜値が上がっていれば、生産者も急激に減ることは無かったのではと思います。 

どうも根絶やしにしてしまいかねない状況が続いていますので、私たちも、資源が足りなくなっている魚種については、生産や販売を従来より極端に減らすように気をつけています。いくら消費者のニーズが高いと言っても、薄利多売を続けていくと、最終は食べることも出来なくなるからです。おいしいものを食べることは大きな幸せです。無くなってしまったら本末転倒です。資源が減ったものは高騰させて、たくさん流通しないように調整することも必要だと思います。

ただ、消費者のみなさまもたいへんでしょうし、また、現場が見えませんから、私たちが調整役をして、資源が大丈夫なものは、安価にて提供できるように努力してまいりたいと思います。 

そろそろ何か根本的に対策を打たなければいけない時期に入っています。その第一歩は、魚にもっと興味を持っていただくことではないかと考えています。化石エネルギーが底をつく事を知る事から始まり、人類はその代替エネルギーの生産や持続性を深く考えるようになりました。今はまだ足りない状況が続いていますが、きっと近くには安全で持続性あるエネルギー生産が行えるようになると思います。

こんなに健康的で美味しい魚、いつまでも残していきたいですね。

 

2010年05月28日

国際生物多様性年

今年は、「国際生物多様性年」です。10月には、日本で生物多様性条約の締約国会議(COP10)が予定されています。長い間自然と共生してきた人類は、この数十年、自然界に急激な影響を与えました。同時にそういった影響が現在、人類にも解決が困難なほどの問題をもたらす結果にもなってしまいました。生物学者は、これからも自然を維持し、利用し、生命を維持していくためには、まず自然界の仕組みを知り、生態系、種、遺伝子の「多様さ」を学ぶ必要があり、そこに秘決があると考えています。それは、ある種の存在が違う種の存在を支えたり、調整を図ることで生命が維持されるという相互作用と言って良いでしょう。

 

連鎖し、循環し、調和が生まれ、サスティナビリティ(持続可能性)に繋がることを考えると、生物多様性の仕組みの重要性を知ることがスタート地点と言えます。私こと、代表、辻合は、現在海洋生物の多様性を勉強していますが、眼前の海の、ある一種の魚の中にも多様性があることを感じるのです。高い品質の料理を提供するために取り組んでいることですが、その途上で発見できることが沢山あります。

 

例えば、ホッケという魚が生息していて、北海道の中でも主産地で有名なのですが、その理由は、海が産卵に適した岩礁地帯であることです。料理界では、北海道産から、北海道鹿部産のという美味しい産地細分化が進んでいますが、鹿部で揚がるホッケが全て美味しいのかというとそうではありません。日々ホッケに触れていて感じることは、1000尾入れてきても、全て個体差があるということです。同種の中にも多様性があるのです。同一種、同一産地、同一季節、環境が同じでも生物は個々に於いて特有の性質があります。人間界でもよく、個性が・・・と聞くことがありますが、犬や魚にも個々に特有の性質がありますので、ましてや高等な動物である人間は、当然中の当然ということになります。細分化すれば、人も動物も植物も全ての生命に於いて、個々に特性があり、その種のみが持つ共有の特性があります。こういった同種間の多様性と共通した特性、大きく相違する特性の他種間が、複雑に連鎖しながら影響を与えながら、バランスを図りあっていることが持続性に繋がっているのです。

 

人は自然に勝つことは不可能です。自然破壊が起きても長い年月の間に自然は復活します。火山活動により火山灰や溶岩と化した地帯でも1000年や2000年経てば森林地帯を取り戻します。しかし、その間に人類の生命が途絶えてしまう可能性も大きいのです。仮に生き残れたとしても、もし、自然が復活する仕組みを途絶えさせるような大きな仕組みを絶滅させてしまったら・・・?

持続できるように、生物の多様性を知る必要性があるのです。 

 

2010年03月08日
 
食資源と異業種間交流

クロマグロが絶滅危惧種に指定されようとしています。私たちが居る噴火湾でもスケソウダラの捕獲制限が行なわれ、漁も限定されました。今年から顕著に漁獲量が制限されているので、漁師さんたちも生活に支障をきたすところも出て、廃業する漁師が増えてきました。年々厳しくなる漁獲制限ですが、漁業関係者も大きな岐路に居るのではないかと感じています。天然資源が少なくなっても、漁師たちの生活に支障をきたさない漁業を目指さなければいけない時代を迎えています。

 

しかし、未だ北海道は、技術不足なのか、天然資源に頼った漁業から脱却できる見通しがついていません。農家と違い、狩猟型ですので、育てるという意識が少ないのでしょう。技術的にはそう難しくないと思うのですが、そういった意識や風土が出来ておらず、今後は、まず、教育を推進しなければいけないでしょう。時代は変化を求めていますので、いつまでも古い習慣に捉われていては、豊かな未来が遠のくばかりです。北海道は経済が困窮していますが、食の資源が本土と比べて格段に豊富ですので、どうしても危機感が足りないようです。しかし、北海道は北海道の人たちだけの土地ではなく、日本における食糧庫の役割を果たさなければいけません。

 

かろうじて道内の自給率が保たれている程度ですので、全国に流通させることを考えると、技術開発をして、もっと生産を上げる必要があります。近年、地元にあった水産研究所が閉鎖されることになりましたが、この施設では、放流のための研究を行なっていたのです。稚魚を育て、放流して資源を増やそうという研究であったので、非常に残念です。

 

こういった問題は、生産者だけの問題ではなく、消費者、流通事業者、生産者と三つ巴で行なう必要があります。あまり価値が無いとされていた資源にスポットを当て、流通事業者は消費者が美味しく食することができるように技術開発すること、生産者は安定した生産を行なえるようにすること、消費者は、健康にも良い魚食についての価値認識を深めることが大切です。現代の日本人は、嗜好に偏りがありますので、特定の魚種に人気が集中し、特定の資源が減少するという現象が起きています。すべてはチェーン連鎖していますので、特定の魚種だけでは済まない場合があります。

 

減少しつつある魚は、いち早く保護、または、育てるという人の手を加えることが必要です。自然に人の手を加えることはいかがなものかと思うこともありますが、これだけ人口が増えてくると、人の手によって乱したものは、人の手によってバランスを保つことが大切だと思います。絶滅してからでは遅いのです。ある種の絶滅は他の種をも同時に絶滅に追い込むことを考えると、一刻も早い対処が必要でしょう。私たち北海道嘉楽に出来ることは、生産と流通をコントロールすることです。

 

今まで見向きもされなかった人気のない魚種を美味しく開発し、また、規格外のサイズを新規格を作り、付加価値を作ることです。人気が出て相場があがると、漁師たちは生産を始めます。近年のようなデフレになると、漁師が少なくなるという悪循環が起きます。漁師が居なくなると、育てる漁業が遅れ、今後も増加する人口に対して、食のバランスがとれなくなる怖れがあります。今後は一次産業を見直し、もっと盛んに行なうことが大切な時代にならなければいけません。

 

地球上の全てがチェーン連鎖していることを深く認識を持つ必要があると思います。持続可能性とは、こういった自然観を持つことから始まるのです。食は食に携わる人たちだけの問題ではなく、食を教育する教育者、規格外品を効率よく運ぶことが出来る技術開発を行なう物流業者など、あらゆる分野から地球を見つめなおす必要があるのです。これからは、専門家が専門に従事してきた時代から、専門家が他の専門家にお伺いをたてたり、異業種との関連性を読み解き、異業種を知る異業種間交流が大切であると思います。

クロマグロの更なる漁獲制限については、政治と実態資源の両サイドから見つめて判断することが必要でしょう。情報発信者の意図を誤らないように、冷静に見極めたいものです。

 

2009年12月10日

2010年を迎えるにあたって 

日に日に、環境に対する意識が世界規模で高くなってきています。情報化社会は良いことが広がることも早いと実感しています。人間の営みも含めた持続可能性と広範に考えていくことが、サスティナビリティであると定義して、引き続きレポートしてまいります。2009年も残り僅かとなりました。今年は経済のこと、温暖化のことと、大きな問題が重なり、持続可能性という意味において試された年であったように思います。経済の悪化がもたらす争いごとも起きず、問題の割には比較的静かな年であったように感じました。

今後も慎重を要するでしょうが、確かに20年前とは変化した年であったことが伺えます。個人主義の崩壊、実態のない経済の崩壊、偏った資本主義の崩壊と、バランスの無い行為や思想が崩れた年でありました。そして人間もバランスを失っているような気がしてなりません。バランスとはサスティナビリティと同義語と言っても過言ではないと思います。

 

人の体も地球も新陳代謝と循環を繰り返して持続されています。そう考えると、地球も一つの生命体のようです。経済も同じことが言えます。資金の流れを一定箇所で止めてしまうと、人の血液と同じでいずれ破綻を迎えます。サブプライムローンにより、アメリカが発信源となった世界同時不況も、一部の企業が起こしたバランスを欠いた行為であり、循環を止めた行為でした。消費と供給という当たり前のことが行為(循環)として反映されていれば起こらなかったのかもしれません。一定箇所で、自然に反する経済行為であったのでしょう。

 

私たち企業が、今後指針として持つべきものを深く考察する時代に居るのだと考えています。必要以上のものを持たない、循環が持続を支えるという原則のもと、利益を何に還元していくのかが問われていると思います。食は食の世界だけで考えていてはいけない、エネルギーや社会、自然環境、あらゆる万物のことを考えた上での行為であることが大切と考えています。それにはまず、人にとっての幸福とは何かを深く見つめ直すことが先決なのかもしれません。幸福とは相対的です。現代当たり前のようになった文明の利器も、100年前は夢のような贅沢でした。物を得た先進国が次ぎに取り組むべきことは、精神の安定(幸福)のための何かであったはずが、循環を止めてしまったことにより、大切なものを失ってきたような気がします。

 

不景気だからと、決して物やお金だけに走らない。同じことを繰り返すのではなく、一歩、進歩した人類で生まれ変わることが求められるのでしょう。私たちも来年は更に深い考察のもと、大切なものを有した、未来に必要な企業として成長してまいりたいと思います。

 
2009年09月08日

鮭資源減少と相場と雇用の機会

ここ数年、鮭資源が減少傾向にあります。昨年も非常に鮭が少なかったのですが、今年は昨年比マイナス35%の予想です。鮭資源減少を危惧して、今年は鮭漁を10日間遅らせ、産卵を重視した方針が全道的に執り行われました。

魚の資源が減少していますが、漁業の問題は、資源が減少傾向にあっても、魚価相場が資源量に対して上がらないことです。鮭だけに限らずほとんどの魚が減少傾向にあるにも関わらず、魚価が上がらないので、後継者不足の問題も顕著になってきています。

 

昨年、全国的に漁を行わないストライキが行われましたが、その後の政治経済に反映されておらず、このままでは後継者が不足して深刻な問題に波及する可能性が高くなっています。実際私たちが居る漁師町、鹿部においても漁師を廃業される方が後を断ちません。経済が悪化している中、なかなか厳しい要求と映りがちですが、冷静に判断する必要があるのではないかと思います。漁師は捕るだけではなく、育てます。

経済が悪化しているからと、全てを一緒に考え、コストを抑えるだけの方針は、ある業界においては深刻な問題を引き起こし、その結果が時を経て消費者に返ります。ある魚種が絶滅したり、高級になって食卓に上がることが無くなるということも起きています。

市場経済が無差別な情報により、その重要性の優先順位を判断する機能が、麻痺しているのではないかと私たちは考えています。そして、時すでに遅しというところまで追い込まれて、初めて事の重大性に気がつくのではないかと思います。ある明確な価値基準により、取捨選択を行うことが必要な時なのかもしれません。

 

私たちは、流通の源流である浜に居て、身を持って体感しています。労働力も高齢化していますが、現在の状況では後継者不足を止めることはできません。労働者の所得と、昇給率を見ると到底家庭を作り、生活を設計することなど不可能です。もちろん地方は地方で自立して、源流から新しい仕組みを作り上げることも大切です。北海道は生産地なのですが、これからはマーケティングや営業など、売れる仕組み作りや、商品開発に取り組まなければならないと考えています。また、養殖事業を促進したり、天然資源を増やすことに対しても対策が必要です。それには、生産地に合った特有の教育制度や組織が必要になるでしょう。

 

水産業において、教育が広く行われない理由のひとつとして、同族経営の組織体質があると思います。日本において長期生き残っている会社は同族経営が多く、非常に危機に強い経営組織ではあるのですが、唯一、教育が広がらないという難点があります。これは同族経営だから教育が広がらないと断定することはできませんが、結果的にそうなっていることは否定することは出来ないと思います。新しい商品を開発する力は社内外においての競争により生まれやすく、販売力も競争により強くなることは事実です。ただ、過剰に競争に走る資本主義を肯定することもできません。

 

実際のところ、私たちにとっても大きな試練であり、今後の水産業界において具体的に何を肯定し、何を変えるのかと質問されると、困るのが現状です。ただ、このままでは雇用の機会もどんどん失われ、水産業界全体が大きな打撃を受けることは目に見えています。改革について、考えはするが、なかなか実現に向かわなかった一次産業を、大きく見直す必要に迫られていると感じます。今後も考察を深め、非力ながらも少しでもこういった問題に実際取り組んでまいりたいと思います。

 

2009年08月12日

商品開発

漁業における特定の固有資源の減少は、レジーム・シフトと共に乱獲によることが大きな原因です。これは経済の発展と人口増加に比例して起きます。特に人気のある資源に起きやすく、テレビなどで広く宣伝され、脚光を浴びると数年後には必ずと言って良いほど急速な減少が起き、資源の高騰とともに枯渇が起きます。

素材の美味しさが売れ行きを左右することは必須条件なので、当然の結果となりますが、自然の回復システムを越えるまでに、人為的に壊したものは人為的に改善方法を考えなければ維持できません。

 

人気商品に使われる素材がもともと美味しい素材として認知されていたのかと申しますと、一概にそうは言えず、昔から人気ある商品の中にも技術や習慣により消費が高くなったものが数多く存在します。そして消費に対応するべく仕組みを作り安定して供給されてきました。また、資源の維持にも努めてきており、改善されて現在にまで至っています。

 

水産業に至っての問題は数多くありますが、中でも危険なのは、新しく生まれた商品が情報の発達により、急速に認知され、一斉に消費に向かうことにより起きることです。まるでイナゴの大群が通り過ぎたように消えていきます。種を増やすために残さなければいけないサイズのものでも一網打尽にしてしまうことが、種を絶滅状況に追い込むことになるのです。ある種の極端な減少は、他の種にまで及び、その数は計り知れないでしょう。それが人間にとって致命的になる可能性もあります。

弊社は、水産加工メーカーであり、漁を行う漁師ではありませんので、漁には直接的に関係しないのですが、一点に集中する矛先を変えることは多少なりとも貢献出来ると考えています。

 

多岐に渡って商品開発を行い、素材自体に人気のないものを美味しくさせるために、または現在主流となっている健康食品に対して技術を活用することはできます。例えばホタテ貝ですが、噴火湾は養殖が盛んに行われており、ホタテ貝を沢山作ることができます。商品開発に陰りが出ると人気が低下し、漁業に従事する者はほたて貝だけでは生計がたたなくなり、他の資源に向かうことが多々あります。

日本が最も得意とするものは、技術であることは、世界が認めるところです。資源を安定させるためには人為的に作れる資源に技術の力を向けることも一助となると考えています。資源枯渇の問題は、ある一つの解決策で改善されるものではなく、消費、生産、流通、などの物質のバランスと、規制、消費に対する思考を向上させるための目に見えない精神性向上を常に計りながら行うことが大切です。

 

物自体と使う側の人の意識や生産者の意識、すべてチェーン連鎖していなければならないと考えています。

特に難しいのは人の意識です。私たちだけでは到底力が及ばず手をこまねいてしまいますが、何もしないわけにはいきません。まず、私たちが出来ることに対して行動を起こすことを考えると、加工の仕方により、美味しく人気が上がり、資源枯渇においても、そう簡単に失せてしまわず、手を打てば、回復も早い素材を対象に商品開発を行うことです。

人間が絶対的なバランスを作ることは不可能です。それこそ人間の驕りであるとも思います。また、人間が自然主義に生きることもどうかと思います。人間も自然の一部と考え、人間ならではの自然維持の知恵を自然の行為として自覚して行動することが大切であると私たちは考えます。

 

増えすぎた種は減少し、また新たなものが生まれることは極めて自然なことですが、極端な人為的な行為は回りまわって私たちに影響が及ぶことになります。結果は私たち自身に害が及ぶのです。そう考えると今だけを見た消費や生産から、10年、50年、100年先までのビジョンを組み立てて今を見つめることが大切であると思います。

資源維持は大きく難しい課題ですので、簡単に語ることができませんが、引き続き勉強して少しでも貢献できるように努力してまいりたいと思います。

 

009年07月18日

レジーム・シフト 

東北大名誉教授が発表したレジーム・シフト(基本構造の転換)という水産資源における魚種交代のシステムがあるのですが、これは、ある特定の魚種が乱獲により大増減が起きるのではなく、種の交代劇だという主張です。発表当時、米国などの世界の著名学者らは、唖然とした面持ちで聞いていたそうですが、その後の論文などで、認められていったそうです。

大気-海洋-海洋生態系から構成される地球環境の基本構造が、数十年の時間スケールで転換することを定義したものです。数十年という時間スケールで魚種の交代劇があるのですが、例えばマイワシが少なくなり、マサバに交代することなどがあげられます。増えすぎた魚種が悪い卵を生み出し、ふ化しても大半が死滅する現象が起き、回遊から沿岸魚に戻ったりします。それにとって代わってマサバなどの違う魚種がレジーム・シフトにより、増えるのです。

 

ただ、増える過程で、発達した巻網漁法の漁獲圧により増大できずにいたりします。また、特定魚種の資源変動がスムーズに進行しなくなれば、魚種交代のシステム全体が破壊されるおそれがあると警告されています。こういった問題を解決するには漁業関係者のみに委ねていては解決しないので、政治の力で解決を叫ばれる声も高くなってきました。

自然をうまく利用するには、自然の仕組みを知ることがまず第一歩だと改めて感じさせられます。

あとは、それを知ったあと、人間はどう行動するのか?ですね。いつも起きてから慌てて対策を考えていますが、叡智とは、未然に防ぐことだと思いますので、問題が大きくならないうちに対策を講じていきたいものです。

 

仕事をしていてよく思うのですが、問題を先送りにして伸ばし伸ばししていると、起きたときの後始末は、未然に防ぐための力よりも遥かに大きい。問題が小さいうちに、この問題が果たして本当に問題なのかを認知するのがまた難しい。まあ、このあたりが見極めっていうところなのでしょうね。塩の塩梅と同じで微妙なところが最も難しいと感じるこのごろです。

サスティナビリティ(持続可能性)。そう簡単なものではないことがよくわかります。

 

2009年07月14日

コミュニケーション

7月のサスティナビリティレポートは、コミュニケーションです。スタッフ間、お客様との会話を大切にしようと、いつもより心がけて活動しています。サスティナビリティとは、持続可能性という意味ですが、持続可能な社会のために何か行動を起こしたり、チームで取り組むときに、ミーティングなどの席上で大切です。会話を上手に出来るのと出来ないのでは、行動に違いが生じることもあるので、「より良い会話を行うことが良い行動として表れ、より良い結果が生まれる。」との考えで始めました。

また、お客様との会話を通じて何かを学んだり、喜んでいただいたことや、失敗した出来事を題材に発表する場を設けたりして、同時にスタッフ間のコミュニケーションを深めようと取り組んでいるものです。

 

始まったばかりですが、サービスという視点においても向上し、より内容あるコミュニケーションが出来ているような気がします。サービスを行っているときに、自分が気づいた「気づき」を大切にし、ミーティングなどの場で発表することにより、お客様との、そして私たちの存在確認を深めあうことができます。また、他を尊重する心も一層深まりつつあります。なぜコミュニケーションを高めるのか、明確な目的と目標がありますので、シンプルな行動指標が全員参加に結びつきやすいように思います。

 

私たち、(有)嘉楽には、理念として掲げている「お客様の立場に立った視線から考えること。それはみんなの幸福への視線である。」という価値があります。意識を共有して取り組むことができれば、スタッフ間、そしてお客様との会話は一層深みあるものになり、日常を豊かにしてくれると信じています。

私たちの尺度は、お客様に喜んでいただけたのかです。その思いは共有していても、方法や気持ちの表現は一様ではないこともあります。今後は、意見が違ったとき、妥協ではなく、より良い未来を造るためにどのようなコミュニケーションを行えば良いのかという内容性も高めてまいりたいと考えています。

 

年齢という境を超え、男女の境を超え、自由に心の国境を超えて会話ができたなら・・。 

 

複雑な過程を経ても、シンプルに至ることができれば、サスティナビリティへの近道になるのではないかと思うのです。

 

 

2009年06月16日

ちょっとした意識の積み重ねで節約に繋がり、人間力が高まる 

ちょっとしたことの積み重ねが集合すれば、大きな改善になるという意識をスタッフたちが共有しています。スタッフたちが自主的に提案したことや、再確認した一例を書いています。

 

○冷蔵庫やストッカーを開け閉めする際、必要最小限に留める。開けながら作業をしない。閉めた後もしっかり確認する。
○水道の蛇口をしっかり閉める。ちょろちょろ出ることがままあるので、気をつける。
○照明や電気類のつけるタイミングを調節する。必要のない時間帯に使用しない。
○器具や食器の洗浄の際、水量を調節することを心がけ、必要最低量で使用する。
○必要のない時間帯に、オーブン、ガスをつけないようにする。
○各自の作業スピードを早く、合理的にし、効率よく動けるよう各自が意識する。人の労力も含め、総合的にエネルギーを削減する。
○色褪せた用紙や使用頻度の極端に少ない用紙、用途に困る用紙などを、重要でない印刷用(発注用紙やメール予約の印刷など)に使用
○ペットボトルのふたを集めている企業に、寄贈する。ふた800個で、子供にワクチンが用意できる。

 
2009年06月11日

ベルマーク寄贈により教育支援 

事務で使い終えたプリンタのインクカートリッジを、小学校の役員の方を通してベルマーク寄贈を始めました。「ベルマーク」は、教育支援を積極的に行っている団体で、海外の子供たちへの援助も広く行っており、「ベルマーク」を集めて送るだけで、その援助を手伝うことができます。ベルマークのサイト

私たちがその方を通してささやかな寄贈をしているのは、地元の小学校で、「ベルマーク」を集めてポイントを貯めると、協賛企業の教材や、備品などを購入することができるそうです。インクカートリッジは、1個5ポイント。1ポイントは1円です。そのポイントはそのまま、学校の預金となり、子供たちのために使われるのです。
 また、このインクカートリッジは、テラ・ルネッサンスという、カンボジアの地雷撤去作業などの国際的な活動をしている団体http://www.terra-r.jp/も回収を行っていて、カートリッジ5個につき、1㎡分地雷撤去できるそうです。とても小さな力ではありますが、こうした形で未来を担う子供たちを支える力のひとつにでもなればと思います。

 
2009年06月09日  

大型釜の無駄を無くすエネルギー効率向上 

北海道の水産部門で得られた成果報告です。

【ターゲット】
130L大型ガス釜

【目的】
ガスの省エネ化を図る。

【現状ガス釜の形状】
円形の大型鍋、二重構造(内側がアルミニウム、外側ステンレス)
上蓋一重構造、釜一体二連コンロ式
コンロから上がる熱は二重構造の中を通り、上部通気口から外に排気される仕組み。アルミニウムは熱伝導率が非常に良いので内側に素材を使用している。ステンレスは熱を反射させるので、外側に使用し、ステンレス板内側からの熱を内側に反射させている。

【現状エネルギー効率】
90Lのお湯を入れ、沸騰するまでのタイムを計ると、11分。

【考察・取り組み】
どこから熱がたくさん外気に放出されているかを検証。エネルギーを外気に排出させず、いかに水の中に伝導させるかが課題。理論的にはエネルギーが効率よく水に伝導することにより、ガスの省エネ化を実現できる。熱放出は、上部一重構造の蓋により多く排出されていると認知。
上蓋から過度に熱を放出されないように、釜内ステンレス製蓋を別製作。衛生面においても配慮。アルミニウムの熱変形温度はおよそ250度、ステンレスの熱変形温度はおよそ750度。熱によるアルミニウムの変形が起きる可能性なし。薄いステンレス板を円形に2枚切り、間に断熱材を挟み、淵を耐熱ステンレステープで閉じる。鍋の内側に刻んである90Lのメモリ地点で直径を計り、少し大きめに製作。これにより、外側一重、内側二重の三重構造の蓋が完成される。また、ステンレス板は熱を反射する性質があるので、最適と判断。

【結果報告】
最初に鍋に入れるお湯の温度を同条件にし、落し蓋が無い状態と比較。これにより、
○落し蓋が無い状態での沸点までのタイム 11分
○落し蓋をした状態での沸点までのタイム  4分

その差7分

【成果】
北海たこの仕込みには何度もお湯を入れ替えることが必要なので、沸騰までのタイムを短縮できたことにより、大幅な省エネが可能になりました。上蓋に手のひらを置いても問題ない温度なので、これによっても熱が効率よく水に吸収されていることがよくわかります。

【結論】
この活動により、大幅な省エネルギー化が実現したことになります。既製品だからと目を向けないでいると、創造的省エネルギー化は出来ず、今あるものをよく観察し、疑問を投げかけることにより、工場の未来は出現すると感じました。