解凍時、魚からドリップが出る原因
冷凍解凍した時、魚からドリップが出る原因には2つあります。
一つは、緩慢冷凍したことによる細胞破壊
ゆっくり冷凍すると、細胞と細胞の間にある水分が、トゲを作りながら膨張します。その氷のトゲが細胞幕を破ってしまい、解凍した時に細胞内のドリップが流出するという現象です。
防ぐ方法は、一にも二にも、極低温で素早く凍らせることです。そうすることによって、水分が膨張する間もなく凍らせることが出来、細胞幕が破れることはありません。
もう一つは、鮮度が良すぎるために起きるドリップ流出
どういうことかと言うと、魚は死後、身の硬直に向かいます。魚種によって死後硬直までの時間は違うのですが、死後硬直(筋肉収縮)するまでに冷凍すると、魚にはたくさんのエネルギーが残ったまま凍結されることになり、解凍時、そのエネルギーが硬直に向かうので、身がぎゅっと引き締まる力(筋肉収縮)が働きます。その締まる力によって、細胞が破壊されて細胞内のドリップが流出します。
これを防ぐには、鮮度が良すぎる間に(死後硬直していない状態)冷凍しないこと。ある程度死後硬直をしていること確認してから冷凍すると、解凍時にドリップが出ません。もう一つの方法としては、急速解凍しないことです。ゆっくり時間をかけて解凍することにより、筋肉収縮が緩和され、ドリップを最小限に抑えることができます。
但し、ドリップが流出する原因のほとんどは、緩慢冷凍によるものと思われます。水揚げされてから死後硬直までの時間は短く、それくらい鮮度の良い魚は、浜以外ではそうそうないからです。